医療スクラブはアメリカ発祥?
医療従事者が着用するウエアの中でも人気を集めているのが「スクラブ」です。スクラブは首元がVネックで半袖という形をしています。ボタンやファスナーなどの装飾がないのが基本的なデザインで、動きやすく多くの医療の現場で採用されています。
スクラブはどこの国で着用され始めたのでしょうか?スクラブの発祥の地や人気の理由などを詳しく解説します。
医療スクラブは、主に医師や看護師といった医療従事者が着用する白衣の一種です。Vネックでボタンなどがなく、頭からTシャツのように被って着用します。スクラブにパンツスタイルを合わせるのが一般的です。スクラブの生地は薄く、伸縮性や耐久性に優れているという特徴があります。
伸縮性に加えて生地自体の重さもごく軽いため、動きやすく長い時間着用していても体の負担になりにくいです。体の動きを制限しないため、患者や利用者を介助する機会の多い看護師や理学療法士、作業療法士などが好んで着用しています。
スクラブはカラーバリエーションが非常に豊富という特徴もあります。従来の白衣は基本的に白だけでしたが、スクラブは様々な色を展開しています。もちろん白のスクラブもありますので、必要に応じて色を自由に選択することが可能です。
単色のスクラブだけではなく、ツートンカラーや柄などのデザインもあり、これまでの白衣のイメージとは違って明るくポップな印象のものが多いです。
医療スクラブは1990年代にアメリカなどで着用されたのが始まりです。当初は医療従事者の中でも手術着として採用されていましたが、その実用性の高さから次第に手術チーム以外のスタッフも着用するようになっていきます。
当時のアメリカでは看護師が着用する白衣が患者に緊張や恐怖といった感情を与えているのではないかという議論が起きていました。白くキッチリとした白衣を見ると不安を感じるという患者もいたため、もっと患者をリラックスさせるような色や服装が望ましいと考えられるようになっていきました。
そのような背景があったため、スクラブに注目が集まり一気に広まっていくことになります。スクラブはパンツスタイルと組み合わせることが多いため、男女共通のユニフォームとして着用できるという点も受け入れられていった理由の一つです。
男性と女性が同じユニフォームを着用できるということは、医療の現場での男女平等が進んだということの表れでもありました。医療の現場で男女が同じウエアを着ることで一体感も出せるため多くの職場でユニフォームとして採用されています。
アメリカなどの海外で着用が広まっていったスクラブは、日本でも人気のウエアです。海外から日本に広がった理由はいくつかあり明確ではありませんが、その中でも有力な説がドラマの影響だったというものです。スクラブのブームのきっかけの一つと言われる海外ドラマが「ER緊急救命室」です。
アメリカの救急救命室を舞台にした医療ドラマで1994年から2009年まで続いた大人気シリーズです。シーズン15まで続いた「ER緊急救命室」はアメリカだけではなく日本でも高視聴率をマークしました。
このドラマの影響でスクラブの着用が日本でも広まったと言われています。
スクラブの着用とともに、日本でも従来の白だけではなくネイビーなどの色が白衣やユニフォームに採用されていくようになりました。テレビの影響力は大きく、その後もドラマ「救命病棟24時」で松嶋菜々子がバーガンディ色(ワインレッドのような深い赤)のスクラブを着用していたことで、この色のスクラブが定番色になりました。
ドラマ「コードブルー」でジャニーズの山下智久が着用していたネイビーのスクラブも売り切れが続出するほどの人気だったそうです。
スクラブは、それまでの白衣にはない性能の高さが人気を呼びました。スクラブが選ばれる理由は、洗濯のしやすさ・デザイン・価格の3つです。スクラブは語源が「ゴシゴシ洗う」という意味のscrub(スクラブ)からきています。
その語源の通り、非常に丈夫で洗濯も容易です。自宅の家庭用洗濯機で丸洗いが可能なので、クリーニングに出さなくても問題ありません。シワもできにくいのでアイロンの手間が必要なく、洗濯機で洗ったら干しておくだけでOKです。
乾きも早く、お手入れが楽だという点が人気の理由の一つです。医療従事者にとって、現場で着するウエアのお手入れがしやすいかということは非常に重要です。医療の現場は常に清潔を保つ必要があり、しっかりとした衛生管理を求められます。
スクラブは簡単に洗濯ができるので汚れたら、すぐに洗って新しいスペアに着替えることができます。常に清潔なスクラブを着用することができるということは医療従事者にとって大きなメリットといえます。2つ目の理由はデザイン性の高さです。
スクラブは基本的なデザインはVネックに半袖とシンプルですが、前身頃にファスナーが付いているものやPHSを入れるためのポケットがあるものなどもあります。側面がメッシュ生地になっているものなど機能的でありながらスタイリッシュなデザインのスクラブも多いです。
色や柄の展開も非常に豊富で、シーズンごとに新作が発表されています。最後の理由は価格です。スクラブは、他の白衣やウエアと比較してリーズナブルというメリットがあります。デザインによってスクラブの価格は様々ですが、1枚2,000円ほどが相場です。
比較的安価であるため、スペアとして必要な数を十分に用意することができます。洗濯も自宅で可能なためクリーニング出す必要がなく、クリーニング代を節約することもできます。
スクラブを選ぶ際には、着用する現場とミスマッチにならないように気をつけましょう。スクラブはデザイン性が高く、色や柄などが華やかというメリットがありますが、現場の雰囲気とかけ離れた色などをチョイスしてしまうと浮いてしまいます。
違和感を出さないためにも、現場の雰囲気にマッチするデザインや色を選ぶように注意してください。その他には、スクラブはVネックですので前かがみになったときなどに胸元が見えないようにする配慮が必要です。特に女性はVネックの深さなどに注意してスクラブを選ぶのがおすすめです。
どうしても、かがんだときに胸元が見えてしまう場合にはスクラブの下にインナーを着用するなどの工夫をするのがおすすめです。